商業・法人登記
- 法人の方へ
その他、商業・法人登記の事は何でもご相談ください。
会社設立について
1.「会社概要の決定」
設立を希望する会社(法人)の概要をお客様に決めていただきます。
リストに従ってご回答いただくことで、ご希望の会社(法人)の大まかな「すがたかたち」は決まってきますので、ご安心ください。
2.「商号調査」
会社(法人)のお名前(商号・名称)が決まれば、他に同じ名前の会社(法人)が無いかどうか調査します(同一本店、同一商号でない限りは登記できますが、同一の商圏で同一業種で同一商号を用いた場合、先に同一商号を用いていた会社の営業上の利益を侵害するおそれがあります。お名前を決める際は、その視点からもご検討をお願いいたします。)。
3.「会社印の手配」
お名前が決まれば、設立関係書類に押捺するため、会社(法人)の実印として登録する印鑑が必要になります。作成にある程度時間がかかりますので、ハンコ屋さんに依頼をお願いいたします(ハンコ屋さんに心当たりがない場合は、ご紹介いたします。)。
4.「定款等の書類作成」
定款は、会社・法人の憲法のようなものです。必ず書かなければならないことを盛り込むのは当然ですが、法律上明らかなことでも敢えて記載する場合があります。今後の会社の道しるべとするためです。定款を再読することで、会社としてどんな手続をとればよいかが分かるわけです。
公証役場で定款の認証を受ける必要があり(合同会社は不要です)、この定款を全部別紙とした委任状(発起人の実印押捺)+発起人の印鑑証明書が必要となります。
紙で定款を作成した場合、4万円の収入印紙を貼付しなければなりませんが、電子定款でしたら、この収入印紙分4万円が節約できます。それもあって、私は、電子定款をお勧めしています(電子定款の場合も、認証のためには、その内容を印刷したものを別紙とした委任状が必要です。)。
その他必要な書類も私が作成し、準備いたします。
5.「定款認証」
公証役場で公証人に定款を認証してもらいます。委任をしていただくと、私が公証役場へ出向くことで足ります。発起人の方には出向いていただく必要はありません。
「実質的支配者となるべき者」について、その者の氏名、住居及び生年月日等と、その者が暴力団員及び国際テロリストに該当するか否かを公証人に申告します。実質的支配者とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある個人をいい、具体的には、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則11条2項」で定義されています。概ね以下のとおりです。
株式会社では、①株式の50%を超える株式を保有する個人、そのような者がいない場合には、②25%を超える株式を保有する個人、そのような者もいない場合には、③事業活動に支配的な影響力を有する個人、そのような者もいない場合には、④代表取締役が該当することとなります。
一般社団法人、一般財団法人では、㋐事業活動に支配的な影響力を有する個人、そのような者がいない場合には、㋑代表理事が該当することとなります。
6.「資本金の払込み」
定款認証後に資本金を払い込んでいただく必要があります。金銭出資の場合は、発起人のうち1名の方の銀行口座に各発起人が出資金を払い込みます。発起人1名の場合でも、預金残高があるだけでは足りません。一旦出金し、再度入金する必要があります(発起人から出資があったことが分かるようにしていただきます。)。
7.「必要書類への押印」
役員の就任承諾書等、必要書類に押印していただきます。書類によって、個人実印や会社の(登録予定の)実印を押していただくものもあり、注意が必要です。
8.「登記申請」
管轄法務局(本店所在地で決まります)へ登記申請いたします。オンライン申請(インターネット経由で申請)をすることがほとんどです。
9.「会社誕生」
申請時が設立の時なのですが、法務局の事務処理のため一定の時間がかかります。登記が完了すれば、登記事項証明書(会社登記簿謄本)、会社の印鑑証明書も取得することができるようになります。
役員変更について
定款で、取締役の任期を「選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」とされている会社も多いかとは思いますが、これは会社法で認められたこと。会社法が施行されたのは平成18年5月1日。そろそろ任期満了する会社もあるのでは。
また、最近は、取締役の任期を1年とする会社も増えています(対外的に、株主が毎年取締役の評価をしていることが分かるようにしているのだと思われます。)。
下級審判例ではありますが、任期10年とする定款を任期1年と変更した会社に対し、再任されなかった退任取締役から損害賠償請求(本来の任期であれば受け取ることができた5年5か月の報酬相当分)がされた事案で、2年間分の報酬相当額の請求が認められました(東京地判平成27年6月29日)。
取締役任期は役員構成等よく考えて決めていただきたいと思います。
募集株式発行(増資)について
株式会社は設立の時に事業の元手となる資本金を集めます。設立された会社が業績を伸ばしたため、事業を拡大しようとしたときに、それまで集めた資金や蓄えた利益だけでは不十分なことがあります。そのようなときに、新株式を発行し、資本金を増加させることができます。
現物出資も可能ですが、原則として検査役による調査が必要です。しかし、例外があります。以下の場合は、検査役による調査が不要となります。
(1) 募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合(100株発行している株式会社が、新株主2名に合計100株の新株を割り当てる場合)
(2) 現物出資財産について定められた価額の総額が500万円以下の場合(○引受人甲が500万円の建設機械を出資する場合 ×引受人甲が400万円の建設機械、引受人乙が200万円の自動車を出資する場合)
(3) 市場価格のある有価証券に定められた価額が市場価格を超えない場合(証券取引所に上場している株式・社債等のほか、東京証券取引所のグリーンシート銘柄等も含まれます。)
(4) 現物出資財産について定められた価額について、弁護士等の証明(現物出資財産が不動産の場合は不動産鑑定士の証明もプラスする)がある場合
(5) 現物出資財産が株式会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限る)であって、その金銭債権について定められた価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合(会社自身が債務者となっている金銭債権は、その会社にとっては価値は明確だから、という理由で認められています。)いわゆるDESです。
種類株式設定について
株式の内容について定款で特別の条件を付けることで、以下のような異なる権利や内容をもつ特別な株式を設定することができます。
(1) 剰余金配当
剰余金(会社の儲け)の配当は、会社から経済的利益を受けるという株主の権利の一つで、基本的にはその所有している株式の数に応じて平等に配分されます。
剰余金の配当について優先して多くもらえる株式を設定することができ、「配当優先株式」と言います。
(2) 残余財産分配
会社は解散などによって事業を撤退する場合、残余財産については基本的に所有株式の比率に応じて平等に分配されます。
残余財産について優先的に分配を受けることができる株式を「残余財産分配優先株式」と言います。
(3) 議決権制限株式
原則として、すべての株主は1株につき1議決権を持っています。議決権を持っていれば、株主総会での議決権行使を通じて、会社の経営に参画できることになるわけですが、この議決権を制限する株式を設けることができ、これを「議決権制限株式」と言います。
(4) 譲渡制限
日本の多くの会社が、すべての株式に譲渡制限を付けている「全株式譲渡制限会社=非公開会社」です。
商法時から認められていましたが、会社法では種類株式の一つとして取り扱われています。
(5) 取得請求権
株主が会社に対して自分の株式を取得するよう請求できる株式のこと。プット・オプション(売る権利)が付いている種類株式です(株主にイニシアチブがあります。)。
(6) 取得条項
株主の同意なしに、一定の事由が発生することを条件に強制的に会社が株主の所有する株式を取得することができる株式のこと。コール・オプション(買う権利)が付いた種類株式です(会社にイニシアチブがあります。)。
(7) 全部取得条項
株主総会の決議があれば、すべての株式を会社が取得することができる株式のこと。この株式を利用して100%減資を円滑に行うことができ、会社の資本構成・株主構成を変更することができます。
(8) 拒否権
別名「黄金株」とも呼ばれます。通常、会社の意思決定は株主総会または取締役会の決議でなされますが、この株式を発行している会社は、ある決議事項について、株主総会または取締役会の決議のほか、黄金株の株主の承認を受けなければならないと定めることができます。
つまり、黄金株の株主は、会社の意思決定について拒否権を発動することができるのです。
(9) 取締役等選解任
この株式を持っている株主だけが取締役、監査役を選任・解任することができることにします。
活用の一例
株式会社甲の経営者A(妻は既に他界)(発行済株式100株はすべてA所有)
後継候補者・長男B、事業に関係のない会社に就職した二男C
Aは株式を後継者である長男Bに承継させたいのです。しかし、昔気質で事業にすべてを注ぎ込んできたため、株式会社甲の事業価値は高い一方で、個人財産は少ないため、長男Bに株式を全部承継させると、二男Cの遺留分を侵害することとなり、二男Cから長男Bへ遺留分減殺額請求がされる可能性があります。そこで、Aは二男Cにも公平を害さない程度に株式を相続させる必要があるのではないかと考えました。
そこで、
① Aが保有する株式のうち、二男Cに相続させる予定の株式については「議決権制限(完全無議決権)・配当優先種類株式」に変更します(Aが一人株主のため、定款変更を株主総会で決議するとともに、Aが種類の変更について同意・合意します。)。
② Aが遺言書(または死因贈与契約)で「Bには普通株式、Cには『議決権制限(完全無議決権)・配当優先種類株式』を相続させる」ことにします。
③ 二男Cには株式を一部相続させることにはなりますが、二男Cはもともと事業には興味がありませんし、長男Bが業績をアップすれば配当をより多く受けることができることにもなり、少なくとも経営の妨害をしようとは考えないでしょう。
※ 遺留分…兄弟姉妹及びその子以外の法定相続人に認められた、被相続人の意向によっても奪えない相続分のこと。二男Cの場合は、法定相続分1/2の1/2(つまり1/4)です。
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